午前五時の殺風景

ミステリとホラーを好む社会人。音楽もたまに。日々言葉が死んでいく。

暁ツアーネタバレ感想

暁ツアーお疲れ様でした。
無事完走できて良かったです。コロナで中止とか、天候で中止とか、そんな可能性もあったわけだし。

私が参戦したのは、新潟と福島公演と最終日配信。
ずっと感想を言えずに書き溜めていたことをメモ書き程度に吐き出します。
字にすれば見たものとの差異が大きくて褪せてしまうのに、それでも字にしてしまうの愚かですけどね…わかってるのにね…。

以下、クソキモラブレター感想。

ステージセット(共通)

シャンデリア(?)みたいなやつが上から垂れ下がっていて、悪霊少女のためだけに作られたセットみたいで良かった。
厨二病みたいなナレーションも面白かったし。それもこれも全部悪霊少女のおかげ。
この曲に合わせてインストもできたのかな。

私はライブ全編で世界観が統一されているのが結構好きなので、今回みたいにOPを基軸として、それがインストで戻ってきて、マイナーな暁のイントロとも重なっているの、めちゃ好みでした。

そしてセットの扉からスモークと共に出てきた二人、かっこよかった……完全に怪しい館に住む人みたいになっていて……。

悪霊少女(共通)

アップテンポな曲で初手からブチ上がるのも良いんだけど、こういう密やかな昭仁さんの歌声で一気に世界観が出来上がる曲もいいんだよね。日常から離れた気持ちになれて。
正直一曲目は暁だと思っていたんだけど、これで良かったかも。
これはライブじゃなくて単純に曲の歌詞の完走なんだけど、悪霊が憑いて「胸を刺す痛み」を感じていた純粋な女の子が、父の思い虚しく「生温かい泥のような甘美の夢から逃れられない」状態まで堕ちるの、恋の独特のえぐさがある。
生々しくて好き。

あとこれはベースとたすくさんのギターもかっこよかった。

サボテン(新潟)

私の席の問題だったかもしれないんだけど、歌い始めに二人の後方から二つの黄色いライトが差したのね。その光が、円状になって昭仁さんと晴一さんだけを包んでいるように見えた。
その瞬間の神々しさがすごくて、少し前までカミカミグダグダのトークをしていたとは思えないほどのギャップで感極まってた。
そんな彼らから「惜しみない愛にも慣れていたんだね」と歌われて我が身を振り返って土下座したくなりました。
ごめんなさい。心が痛い。

ネオメロドラマティック(配信)

家で叫んだ。好きすぎる曲。
晴一さんのギター、いつもと違うやつだったよね。レスポールでやると思ってたからびっくり。

演奏し慣れているから余裕そうに歌う昭仁さんも、ナイスタイミングで照らしてくれる照明も、晴一さんのゴリゴリのギターもめちゃくちゃかっこよかった。

プリズム(配信)

昭仁さんからファンへの曲。

眩しくて遥か遠くて 目を逸らしてしまえば見失いそうで
気づいたら 指を刺して示してくれたのは君だった

ってこんな愛が深いことある???
そこで観客を次々に指差しするの、我々ファンへの愛が重くて好き。ありがとうございます。
あとこの曲のギター、結構指細かいんだね。演奏するの難しそうだなと思って見てた。

うたかた(共通)

ずっと好きだった曲が聞けました。感謝。
声出し禁止だから頑張って堪えたけど、昭仁さんがタイトルを言った瞬間に私の口からひええってよくわからん声が出た気がする。気のせいであれ。

今回のアルバムは晴一さん作詞の曲が全てだったから、改めて昭仁さんの歌詞独特のこの、大地を感じて自分の中に沸る何かを吐き出そうとする感じ、生々しくて泣いた。

昭仁さんは晴一さんの歌詞を褒めるし、確かに晴一さんの歌詞は小説みたいで美しいのですが、昭仁さんの作詞もすごいから。
これ本人にちゃんと伝わってほしい。すごいんだぞ。

インスト(共通)

音源をください!あまりにも良すぎるだろうが!
ラテンっぽいところ、ロックなギターソロ、場面が切り替わるほどに全部がかっこいい。これ、ミュージカルをイメージして晴一さんが組んだと思ってるんだけどどうだろう。
アルバムに入っていないからこそ今回はやらないと思っていたので嬉しかった。
ポルノは楽器隊もかっこいいんだから、もっとこういうのやってくれ。昭仁さんのソロも大好きだけど、楽器だって最高なんだよ。

証言(福島)

これまた演出が印象的で、一回も二人の顔が明るく照らされなかったんですよ。
ピンクや青の光りが差すのに、一向に顔ははっきり見えなくて、その陰鬱さが歌詞と合っていて、照明係は天才だと思いました。
ずっとどん底で光もないところで耐え凌いでいるの、あまりにも『証言』なんだよな…。
絶望を見せてくれてありがとう。この歌詞を岡野昭仁に歌わせてくれてありがとう、晴一さん。
あと背景の映像が山火事(?)というか燃えてる森だったのよかったな。わかる〜、心が焼き尽くされる感覚とぴったりでわかる〜って思いました。天才。

ミュージック・アワー(新潟)

ファンキータイム(という名の楽器隊演奏タイム)がめちゃくちゃかっこよかった。
全然関係ない話になるんだけど、新潟公演はポルノファンじゃない友達と参戦したんですよ。で、事前にライブの定番曲とか振りみたいなのを調べてからきてくれたらしいのね(えらい)。
終演後に「ミュージック・アワーは「よこよこたてたて」ってネットに書いてあって何事かと思ったら、思ったよりもよこよこたてたてだった」って言われて笑いました。
そうだよね、よくわからないよね。

VS(配信)

come on winner, come on loser

のところで手招きをする昭仁さん、ポルノを体現していた……。
どんな人でもどんな時でも受け入れて良い景色を見せてくれるの、あまりにも被ってるんだよな。
しかもこれ歌われたら20周年のこと思い出しちゃうじゃないか。少年みたいにドームの長いステージを走っていた二人、3年前の記憶……頭が割れそうに痛む。

テーマソング(共通)

まだ歌えないんだよね。歌いたかったけど。
そういう悔しさもあれど、大好きな曲です。
思い入れが強くて何も言語化できないな……。

暁(共通)

跪いたよね?昭仁さん跪いてたよね?何あれ?幻想?

大地に膝ついたままで天を仰ぎ

の後、がくっと膝をつく昭仁さん、神に祈る側の人間なのに神に見えたもんな。

もうさ、何度も言っているけれど、私は切望している昭仁さんが大好きなんだ!
うたかたとか、ROLLとか、light and shadowとか、n.t. とか、正体がわからないものに手を伸ばし続ける曲の昭仁さんの歌い方が、あの熱量と相まって最高。
そういう曲は昭仁さん作詞に多いんだけど、今回は晴一さんが作詞ということで、詩的なんだけど感情が重い。

期待と失望とはいつだって共犯者
乱反射をして視界を奪う
その手口は見抜いているのに

のところとか、もう、もう……!そういうの好き!よくそれを岡野昭仁に歌わせてくれたな!

特に福島公演、会場が暑かったからだと思うんだけど、昭仁さんが珍しくヘトヘトになってて、特にラスサビは苦しそうで、振り絞るように歌って(それでも上手い)くれたのが印象的でした。
あの全力さ、惚れてしまう。

OLD VILLAGER(配信)

「ポルノの全盛期はこれから」の言葉に偽り無し。
過去最高にかっこいいハードロックでギターかき鳴らす皮肉な曲ができたんじゃないか?
48歳でこんなにまだまだ熱量のこもった曲を作れるものなの?老いって概念知ってる?

歌詞は最初から最後まで全部皮肉。
この世界はこんなもんだって思って達観している人のことを、表面上は良く

我こそこのムラの生ける伝説 OLD VILLAGER

新しい景色が見たい
「そう願うなら自分を変えろ」
というパターンでしょ?

と言ってはいるけれど、馬鹿にしてるじゃないか。
でも「それはお前が変わらないからだろ」と説教垂れた事は書かず、聴き手に判断を委ねてるのが晴一さんらしい。
強く背中を押すでもなく、説教垂れるでもなく、「僕はこう思うけど君はどうする?」の立ち位置でいてくれる。

しかもこれを歌うのが、純粋そうでほわほわした昭仁さんなのが逆に良い。
これこそ私が好きなポルノグラフィティ
最高ですよ、ほんと。だから早くリリースして!!!



ラストMC(配信)

昭仁さんが「ファンのみんなが『かっこいい』『新しいことやってるな』『ポルノっぽいな』とか思ってくれるかなって考えながら曲を作った」って言ってくれて、もう涙ぼたぼた。
さらには「これからもついてきてくれたら嬉しいです」って、これはこれは。
そんなこと、今まで言わなかったじゃん……。
晴一さんも雑誌のインタビューで「昭仁は今回ずっとモチベーション高かった」って言ってたし。
そういうのがさ、人柄なんだな。

晴「新人のマネージャー、俺らがここまで続いた理由はって聞かれて……人柄ですかねって」
昭「ひとっ、人柄……喜んで良いのかどうか……。それで良い仕事できるんじゃろうか。かっこいいな〜ポルノさん、ゾクゾクするな〜、みたいなこと思うわけじゃないんでしょ?」
晴「人柄(笑)」

って二人とも大爆笑してたけど、あながち間違いではないぞとここでははっきり言わせてほしい!

ファンほどインタビューの記事を追います。テレビも見ます。MCの一挙一動も見ます。
それで人柄に難があったら、いくら作品が良くても「応援しようって気にはならないな」「作品もゴミに見えてきた」って言われるのですよ。残念なことに。人はバイアスをかけてでしか物事を見れないので。

でもお二人がここまで「ありがとう」「好きになってよかった」ってファンから言われているのは、あぐらをかかず一生懸命に進化をしていて、ファンを蔑ろにしないところが伝わっているからだと、思うんですけどね……私は……。
そういう人達だから、これからも頑張ってほしいなって思うんですけどね……。

総括

最近ますます、2人の性格の違いが良い意味で出てきて好き。
昭仁さんは「ファンのみんなが喜んでくれるのが嬉しいから頑張る!」晴一さんは「俺たちは高みを目指す」で、協調性と我を貫くのと両方が共存しているのがまさに私の大好きなポルノグラフィティ
そうやってファンを大事にしつつも甘んじず進化してくれているから好き。

会報でも触れられていたけれど、今回は色々な歌い方の昭仁さんが見られた。
気だるげに歌ったり、しっとり大切そうに歌ったり、振り絞るように歌ったり……だからこそトークの時ににこにこしている時のギャップが大きくて、その笑顔にほっとした。
別に昭仁さんが意識しているわけではないと思うけど、そういう表現者らしくしているところがかっこよかった。

晴一さんもばりばりかっこよかったんだ、特にインスト。(何回でも言う)
晴一さんはスキャンダルがあろうがなんだろうが、ポルノの音楽制作は汚さないように一生懸命やってきてくれていたって再認識させられた。
そして新曲では、過去一晴一節が出ていたんじゃないかってくらい皮肉のオンパレードの歌詞。ガンガン響くギター。もう最高でしょ。

一生アーティストでいてほしい。一生ついていくから生み出し続けてほしい。
そう切実に願ってしまったライブでした。