午前五時の殺風景

表染という、ミステリとホラーを好む社会人が書いています。日々言葉が死んでいく。

白井智之『奈々子の中で死んだ男』を読んだ話

最近腰が痛む表染です。まだ若いのに、どういうこった。

 

さて今回は、2022年に入って初めて白井先生の新作が出たのでブログを書いています。(正確には『そして誰も死ななかった』の文庫化もあり若干改訂されているから、初めてと断言して良いかは微妙。)

 

新作はジャーロNO.80 に収録されている『奈々子の中で死んだ男』です。1月28日金曜日から、各電子書籍で配信されています。550円です、安い。買ってね。kindleでもhontoでも買えるよ。

情報公開は、ジャーロ公式よりも白井先生の公式サイトの方が早かったです。ツイートよりも公式サイト。何よりも公式サイト。

白井智之 Shirai Tomoyuki

ミステリー雑誌『ジャーロ』最新号 No.79 2021 NOVEMBER

 

あらすじ。やくざの栲象は、ある人物の策略に嵌められて組から追われることになってしまう。行き着いたのは、遊女が集まる郭町の黒塚。問題を抱えた女と癖の強い客が集うここで、栲象は女を抱こうとするのだが、とんでもない目に合い探偵ごっこをするハメになる。

(面白い部分は全部隠したいと思った結果、あらすじがあまり書けなくなってしまった。実は怒涛のストーリー展開なのですが、それは読んでからのお楽しみと言うことで。)

 

ネタバレ無し感想。過去最高に好きな白井先生の短編だった。

とんでもない展開なのはいつものことだけど、それにしても信じられないことばかり起こる話。地の文がしっかりしてるから安心して面白く読める。白井先生の作品は現代や未来が舞台になっていることばかりだったから、時代物っぽいのはどうなのかなと思っていたけど杞憂でした。しかも最後まで読むと、何故この時代設定で遊郭を舞台にして書かなければならなかったのか、というところが腑に落ちる。まさにこの謎解きはこの設定でしかできない。

伏線も至る所にてんこ盛り。白井先生はたぶんご自身の文体とか作風とかを客観視できている方だと思うので、それゆえに伏線の場所が巧妙で狡猾でインパクト大。これは痺れる。

最後まで読み終えて、また最初に戻って読むと圧巻ですよ。どこまでも練られている。密度が濃い。

 

挿絵を描いたmidori yamadaさんがツイートに載せています。そちらもぜひチェック。

 

白井ファンも、それ以外の人も必読の良作。ぜひジャーロを買ってくれよな。