私、今の家に1年半前から住み始めたんですよ。就職と同時に、会社の借上社宅ってことで、新築のアパートの3階に住んでるんです。
いやあ、新築ってすごいよね。結構最新の設備が多いんだよ。
もちろんキッチンはIHだし、セコムもあるし、玄関はカードキーで開閉だし。しかも社宅扱いだから、月2万円で住んでる。本当にありがたいなあと思ってるんですね。
学生の時は家賃5万円のオンボロアパートに住んでたし、セキュリティガバガバだったから余計に沁みるね……。
で、もう一つ私が感動した設備があってね。室内のインターホンなの。
インターホンにボタンが5つくらいついてるんだけどさ。
過去にインターホンを押された時の画像と、時刻が全部残るのね。だからボタンをいじれば、「あ、佐川の制服の人が来てる!荷物だ!今日の10時に来てたのかあ」みたいな確認ができるのです。
でも最初の頃は操作がよくわからなくて、初めて使った日(引っ越してきて4日目だったかな)は、間違えて普通に玄関の映像を映しちゃったんだよね。
意味なく映像通しちゃうやーつ。
そしたら、誰かいるんだよ。玄関に。俯いた細そうな男が。もちろん顔も見えないし、服が黒いことしかわからないんだけどさ。ただずっとそこにいるの。
怖かったけど、思い切って玄関に行ってドアスコープを覗いたんだよね。
そしたらね……誰もいないの。いたずらか、隣の部屋の人が興味津々で来てたのかなって思って部屋に戻ったんだけどさ。部屋のインターホンから玄関の外の画面を確認すると、やっぱりまだいるんだよ。その男。
怖かった。その1時間後、クロネコヤマトの人がピンポン押してきた時が1番怖くて飛び上がった。
もちろん、部屋の中から映像を確認したらヤマトさんしかいなかったし、玄関を開けて荷物を受け取る時もヤマトさんしかいなかったよ。
でも、やっぱり部屋に戻ってまたインターホンの映像を見たら、いるんだよね……。ぽつんと一人俯いてる。
それ以来、怖くて操作間違えられないんだ。ずっとそこにいるんじゃないかなって思って。
扉を開けてもどうせいないことはわかったから、部屋の出入りは怖くないんだけどね。でもやっぱり、映像日映す瞬間は……怖いね。
という、作り話でした。
いやあ作り話でよかったよ、ほんとに。